ぼくが経営者になるまでの話/藤田直の人生ストーリー

経営者

Q:福祉・介護業界での経営コンサルティングの仕事に興味があります。経営者の人生ストーリーが読みたいです。
 
 
 
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虐待、貧困、障がい者が障がいと感じる社会問題が山積みの日本。
 
 
そんな中、「誰もが笑って暮らせる社会を創造する」という思いを持って、福祉・介護業界の経営コンサルティングおよび、障がい児・者の支援事業や保育園などの会社の社長として活動しているのが、藤田直(なおき)さん、40歳。
 

 
経営が難しいと言われる福祉業界の経営者に向き合いおこなってきたコンサル件数は400件以上。
 
 
 

著書「ストーリーで学ぶ 介護事業共感マーケティング
紀伊國屋や丸善などの書店やAmazonランキングで1位。
 
 
なぜ、藤田さんは、福祉・介護業界で起業しようと思ったのでしょうか。
 
 
 

「ありがとう」がお金に変わる仕事ってすごいなと思った


 
▼藤田
福祉・介護業界に飛び込んだのは、27歳の時でした。
当時、介護保険制度が始まってまもない頃で、社会福祉士っていう仕事があることを知ったんですね。「人の相談にのることが、お仕事になる??すごいな!」って思って。
 
ある老人ホームの職員として採用してもらったんですけど、初日から道に迷って遅刻しました。(笑)
 
職場では、ご飯を食べさせては寝かせて、ご飯を食べさせては寝かせてっていうのを繰り返してて、オムツを変えたりしてたんですけど、「俺はもっと相談に乗って、生活をもっと良くしてあげたいねん」って思ってたんですよね。
 
「相談員にはすぐなれない」って言われるんですけど、上司や職場の仲間と深いコミュニケーションをとることを大切にしていると、比較的早く相談員になれたんです。
 
 
 
Q:今、社長の藤田さんにもそういう時代があったんですね。
 
▼藤田
はい、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)っていうんですけど、少しでもその人らしく、人間らしい生活ができるように、職場以外の社会資源を繋いでいくのが相談員の仕事なんですけど、その仕事がすごく自分にハマったんですよ。生まれて初めて自分の仕事に納得がいったんです。
 
やりがいがありました。
「やっと、一生やっていきたい」と思える仕事に出会えました。
 
退屈している利用者さんへのアプローチとして外出イベントや地域の子どもたちとの交流イベントなどを企画することによって、大きな反響をいただきました。
 
 
 

みんなでやれば、ルールは変えられる


 
Q:当時の施設としては、どういうサポートが必要だったんですか?
 
▼藤田
QOLの向上です。
もちろん、生きていくことに必要な食べる、寝る、清潔を保持するなどは老人ホームとして必要なサービスではあります。
 
しかしながら、人が生きていく中で大切なことは、笑ったり、人と出会ったり、楽しかったり、そんなことが必要なことだと思うんです。
 
日々の業務は、必要最低限のことをしていましたが、利用者さんが求めていることは、笑ったり、人と出会ったり、楽しかったりっていうことだから、ぼくはQOLの向上に注力しました。
 
地域交流が必要だと言われているけど、なかなか外出できていない利用者さんも多かったんですね。生きることはできていても、充実した毎日をおくれていないことはとても大きな課題だと感じて、楽しめることを提案して実現していきました。
 
 
 
Q:そんな藤田社長の、大事にしている価値観って何ですか?
 
▼藤田
「社会的に力が弱い人がバカを見る世界が許せない」ですね。
 
 
 
Q:何でそういうふうに思うようになったんですか?
 
▼藤田
小さい頃からの記憶から考えてみると・・・5歳の頃からだったかな・・・。
 
父からよく、「直!人はなんで生まれてきたと思う?生まれた意味は、とらえ方で変わるんやぞ!」ってしょっちゅう言ってきて、、、その後、ススッとパチンコに行ってる父でした。(笑)
 
そんな父ですが、生きていく上での「問い」を投げかけ続けてくれたのは大きかったですね。
 
 
 
Q:小さい頃から生きる意味とか考える習慣があったんですね。「社会的に力が弱い人がバカを見る世界が許せない」って例えばどういうことですか?
 
▼藤田
小学生の時に、あるクラスメイトが「臭い」ってイジメられてたんですよ。
でも、その子は親から育児放棄されててね、その子は悪くないじゃないですか?
 
その頃、ぼくは体型もヒョロヒョロやったし、ケンカも弱かったけど、その子をかばって「何でそんなことすんねん?誰も得せぇへんやん」らぼくもイジメられたんですけど、だんだん仲間が増えていったんですよ。
 
そしたらイジメる側が立場が悪くなって、イジメは終わったんです。
 
立場が悪くなったイジメっ子が、少しずつ変わっていって・・・イジメられてた子と、イジメてた子とぼくで遊ぶようになっていくのが嬉しかったですね。ぼく抜きでも2人が遊ぶくらいになったし。
 
「意地になってやってたらええ事あるんやな」って思ったし、今にも通じてる経験ですね。
 
 
 
Q:他に意地になってできた成功体験ってありますか?
 
▼藤田
一人だけで何かを続けるっていうのが苦手だったんですよ。
 
勉強もスポーツも、ギターも習い事も全部途中で投げて何をやっても続かなかったんですけど、自分の中の大きな成功体験としては、、、高校の文化祭ですね。
 
文化祭といえば、バンドの演奏ってあるじゃないですか?
 
高校に入って、バンドを始めて、ギター・ボーカルをしてたんですけど、先生から「うちの学校の文化祭ではロックバンドは出さない、風紀が乱れるから」って言われたんですよね。
 
「なんでやねん!」って思って、このルール変えたいって思ったので生徒会長に立候補して、仲間を増やしました。
 
「みんなで変えていこう!」って動いてやってたら、文化祭でロックバンドの演奏ができるようになったんですよ。周りを巻き込んで変えていくことは、諦めなかったんですね。
 
「みんなの話をしっかり聞いて、反対や賛成の人、1人1人の考えと向き合って、自分の想いを伝え続けることが出来たら物事やルールは変えられる」と思えた経験ですね。
 
 
 

お金を持ってみてわかったこと


 
Q:27歳で介護職として働き始めたんですよね?それまではどういうふうに過ごしてたんですか?
 
▼藤田
「大金を持つ」という意味では、高校生の頃からスロットにハマってて、バイト代の大半を注いでたんですよ。大学生では、考えられないほど稼いでいた時期もあったんです。
 
その時に「金ってこんなもんか」という儚さというか、夢を感じられなかったんですよね。
なぜなら、ロクでもないお金の使い方しかできなかったから。
 
若くしてお金を持つから、高い服を買ったり、良いご飯を食べたりその他諸々遊びまくってたら散財してしまったし、過労で入院もしたんです。
 
 
そんな時に、ふと思ったんです。
 
 
お金を持った分だけ、そのお金を無駄に使い、だからまたお金を持って、また無駄に使う。
そうすることで、健康や大切な感覚を大きく失っていくことに気づいたんですね。
 
大学卒業後は、超得意なパチンコ屋に就職したんですけど、その時に感じたのがお客さんの中に「私、今日出なかったら首くくらなアカンわ、カードの限度額もアカンし、絶対に勝たなアカン!」って言い合ってたり、玉が出ないとイライラして灰皿床に巻いたり、ジュースを台に注いで壊す人もいて。
 
そんなお金に振り回されているお客さんに対して、ある意味では自分は、「サービス業なのに人をよろこばせられない。働くってなんなんやろうな…」って思って、結局辞めました。
 
 
 
Q:そういう人生経験をしたところから、福祉・介護業界に進んだんですね。
 
▼藤田
そうですね。
自問自答して、「働くなら、人の役に立ってお金をいただきたいな」って思って。
それから、社会福祉士の専門学校に入って勉強しました。
 
でも、また学生になったのが嬉しくて調子に乗って、飲み歩いたりで勉強もろくにしませんでした。
もちろん社会福祉士の試験は4回目に無事受かりました(笑)
 
それからさっき話していた老人ホームの職員になりました。
 
 
 

情報に弱い人、弱い立場の人を救いたい


 
Q:社会福祉士として働いていたところから、なぜ経営者になろうと思ったんですか?
 
▼藤田
社会福祉士としてしばらく働いて、たくさんの人の相談援助の中で思ったのは、「この世の中って、虐待やDV、不登校、障害とか社会問題がすごく渦巻いてるんやな」って痛感したんですよね。
 
本来、生活保護を受けられるのに手続きができてなくて受けてない人がいたり、介護保険や障害福祉制度に関して情報弱者の人がめっちゃいるなぁって思って。それをなんとかしたいなって思い、NPOを作って活動もしていました。
 
それから、高齢者施設の経営支援をやったら、半年でその施設の利用定員が満たされたんですね。そこで自信をつけました。
 
人の応援をすることにきっと喜びを感じるんでしょうね。
 
 
 

 

笑えるナースコミュニティー「Funny」 では、ナースの多様な生き方・働き方について、ビジネスセミナーでサポート
 
 
 
▼藤田
その後、「福祉・介護業界の経営で困ってる人のコンサルで起業しようって思ってる」って話していたら何人かの人に「応援するよ!」っていってもらえて。
 
いくつかのお仕事をいただくことができたので、2013年に創業して、翌年の5月に大阪市内の寺田町駅近くに株式会社インクルージョンを設立しました。
 
 
 

株式会社インクルージョンの事業内容と思い


 
Q:藤田社長や、インクルージョンの社員のみなさんはどんな業務をされてるんですか?
 
まず実業の方でいうと、障がい者の就労支援です。
 
障がいをお持ちの方に対し、一般就労につなげていけるよう、ITやデザインなどの制作を通じての就労支援をおこなっています。
 
次に、障害児のデイサービスを2箇所展開し、療育支援をおこなっています。
日々の外出や行事など、生きていく上での必要なスキルを「楽しい」の中から身につけてもらっています。また、医療ケアが必要な子どもたちの支援も同時におこなっています。
 
あと保育園を2箇所展開しています。
「ナチュラルに子連れ出勤が出来る」職場にしたかったので、企業主導型保育園を2園やってます。
 
 
そして、コンサル業になりますが、新規開業をしようとしている方と一緒に事業計画を考えて進めていったり、「開業したもののうまくいかないんです」という方の経営再建のコンサルティングがメインです。
 
そのほかに、飲食店や美容室の経営のコンサルティングや、障害者の雇用を増やしたり、アプリ開発もサポートしています。
 
うちの会社の強みは、経営コンサルだけじゃなくて、事業所の経営もしてるところです。
実際にやってるからこそ、時代の変化や、現場で困ってることもわかりますからね。
 
 
 
Q:経営コンサルティングで大事にしていることはなんですか?
 
▼藤田
しっかり経営者と信用形成することですね。
 
つまり、自分の友達や家族以上に本気で向き合うことですね。
結局は、経営者の意識が変わると組織ってガラッと変わることが必要なんですね。
 
「この人の話だったら信じてみよう」と思ってもらえるように、まずは私が本気で相手の立場に立って物事を考え抜くことを大事にしてます。
 
 
 

今後の夢・目標


 
▼藤田
「誰もが笑って暮らせる社会を創造する」っていうのが我が社のミッションです。
なので、その想いに共感してくれる人と一緒に仕事をしたいです。
 
ぼくは、福祉・介護業界に入るまで、いっぱい失敗してきました。
 
でも、その経験のおかげで、「次はこうやったらうまくいくんじゃないか」「みんなでやれば変えられるんじゃないか」とみんなと一緒になって考えられるのがぼくの強みだと思うんです。
 
起業してから大きな失敗ってないんですよ。
もう失敗を失敗ととらえないので。
 
学生のみなさんは特にですけど、若いうちにいっぱいチャレンジしてください。
その時は辛くても、やり続けていたら無駄なことなんてないですからね。
 
もっとこの世界を優しくて、楽しくて、ワクワクできるようにしてきたい。
 
「アイツがいうんだから力になるか」と思ってもらえる自分」になりたいです。
そうしてぼくはみんなの出番と居場所があるまちづくりがしたいんです。
 
一緒に世界を変えていきませんか。
 
 

 

藤田直プロフィール

株式会社インクルージョン代表取締役、社会福祉士・介護支援専門員、福祉事業マーケティング塾長。
1979年大阪生まれ。相談員、介護支援専門員、介護支援管理者、生活支援員など、多くの現場で経験を積む。2013年、株式会社インクルージョンを設立、代表取締役に就任。
 
自社で福祉事業を行いながら、高齢者、児童、障がい者の福祉全般の経営コンサルティングを年間で400社以上手掛ける。特に開業からその後の利用者数アップなどの支援を得意とし、公的機関や民間機関等で講演やセミナーも多数開催。2018年、起業家のための「福祉事業マーケティング塾」を開設。「誰もが笑って暮らせる社会」を理念として掲げ、「選ばれるサービス」を提供することで利用者と経営者、現場職員が共に喜びを得られることをモットーとしている。
 
 
▼藤田直のSNS
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