高校教師を辞めて出版社を作った話/高木つとむの人生ストーリー

フリーランス

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Q:教育や出版業界に興味があります。
  そんな活動をされている人の人生ストーリーが読みたいです。
 
 
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教科も大事だけど、生き方を学んでほしい—。
 
 

私立教師時代に出版社を立ち上げ、京都の橘高校のキャリア教育のプログラムを担当するようになった、高木つとむさん、26歳。
 
 
なぜ、教師をしながら出版社を立ち上げようと思ったのでしょうか。
また、教師を辞め、今どういうことに挑戦しようとしているのでしょうか?
 
その人生ストーリーに迫ってみました。
 
 
 

なぜ、教師を目指すようになったのか


 
Q:子どもの頃から教師になりたいと思ってたんですか?
 
▼高木
福井県生まれで、両親が教師でした。
でも、親が教師だからといって、教師に憧れたわけでもなく。
 
高校二年生の時に、「進路どうする?」って話になった時は何を考えてたかというと、ジャニーズのグループの嵐の松本潤くんが主演していたドラマの「バンビーノ!」を見てて、「イタリアンのシェフ!超かっこ良い!」って思ってて、ノリで大阪の辻調理士専門学校の「イタリア留学コース」を志望してたんです。
 
 
Q:別業界ですよね(笑) そこからなぜ教師に?
 
▼高木
教師になった大きなキッカケとしては、サッカーです。
8歳の時に、友達に誘われてサッカーを習い始めたんですよ。
でも、縛られるのが嫌いで、「やらされ感」でやってるので全然上達しませんでした。
 
 
 
でも、中学に入った時、サッカー部がなかったんですよ。
父がたまたまそこの教師で相談したら、母がママ友連中と一緒に「サッカー部作ろう」って動いてくれて、そこらへんから、「サッカーができるのって当たり前じゃないんだな」って思い始めて、、、
 
中学2年生の時に、ナベちゃんっていうクールなコーチがやってきたんです。
その人がめっちゃ上手くて。「すげー!!世の中にはこんなに上手い人がいるんだ!!!!!!」ってなって。
 
 
 
そこからどんどん楽しくなったし、上達して。
 
それで、高校でもサッカーを続けてたら、高校2年生の時に、福井県代表の選手に選ばれたんです。その時に、国体の監督が「福井県のどこかの高校にサッカーを教えに戻ってきてくれ」って言ってくれたんです。
 
 
それで、「サッカーを教えるってことは…教師になるってことか!」って思って、急遽、受験勉強をしました。塾に通って、1日10時間以上勉強して京都教育大学に進学することができたんです。
 
 
 
Q:なるほど!すごい進路変更ですね(笑)
 
▼高木
「やらなきゃいけない」っていうのが苦手で(笑)
「これやりたい!」ってなったら、めっちゃやるんですけどね。
 
サッカーも1日7時間くらいは毎日練習してきました。
 
 
 
Q:教育大に入った後って、どんなふうに過ごしてたんですか?
 
▼高木
サッカーは続けるんですけど、同級生の子たちがすごい上手くて。
レギュラーにも入れなくて。
 
教育大って視野も狭くなるんですよね。
 
当時、「ブラックプレジデント」っていうドラマにハマって。
ブラック企業の社長が社会人枠で大学に入って、「大学と社会の違いはこうなんだぜ」って教えるドラマなんですけど、超おもしろくて。
 
「お前らはボールペンだ!どれだけの価値があるか!」みたいな(笑)
 
 
ちょっと、自分、社会知らなさすぎるわってなって、いったん教師になるのは横に置いて、いろんな業界が見たくなって、大学3年生の3学期にめっちゃ遅れて就活を始めます。
 
就活ってなると、リクルートスーツとか着るじゃないですか?
ぼくはストライプのスーツ、青シャツ、ドットのネクタイしか持ってなくて、カバンもないんで、友達にリュックを借りて、説明会とかに行ったら、周りの子達と自分の違いに衝撃を受けました(笑)
 
 

 
Q:就活のやり方をまるでわかってなかったんですね(笑)
 
▼高木
はい(笑)
説明会で隣にいた子に、「就活のやり方教えて」とか言ってましたよ(笑)
 
それで、大阪の経営コンサル系の会社の内定式に出たんですけど、「社会ってめっちゃ面白いなぁ」と思って。
振り返ってみたら、高校時代の自分って社会のことを何にも知らなかったなぁって感じて。
 
「学校でも社会のことを教えられる教師になりたい!」と思って、辞めて、Facebookで「教師になりたいです」って書いてたら、知人が「京都の橘高校が教師を募集してるんだけど」って連絡をくれたんです。
 
それで、大学を卒業して橘高校で働くことになりました。
 
 
 

高校教師になって見えた世界


写真:橘高校、新規採用時代
 
 
Q:強運というか、、、ご縁ですよね(笑)教師になってからどんなことを感じました?
 
▼高木
いや、数学を教えるのが楽しくなくて。
教科っていうより、「生き方とか社会のことを学んでもらいたいと思って教師になってるのになぁ…」って思って。
 
それから、学校の外に出ました。
セミナーとか講演会とかに参加もして、世界を広げていって……その時に「」どうやったら有名人に会えるんだろう?」って思って、、、気づいたのが「取材させてもらえばいいんだ!!」って。
 
それで、自分でWebメディアを作って、インタビューをし始めました。
「3人に1人はOK理論」って言ってるんですけど、3人に1人はOKをくれるんですよ!
 
それで活動してたら、生徒から「先生、私たちも有名人の人と会いたいです」って言ってくれて、「よし!学校に呼んじゃえば良いんだ!」って思って、教育委員会に持ち込んだんですけど、「君は実績ないでしょ?」って言われて(笑)
 
「よし!じゃあ実績作るぞ!」って思って、学校の外でセミナーとか講演会を主催し始めるんですね。
 
 

 
Q:集客とか大変じゃなかったですか?
 
▼高木
大変でした。。。
300人規模の会場なのに、20人しか集まらなくて。
 
「ヤバイなぁ…」って思ってたら、卒業した生徒のソラが一緒にやってくれるようになって、めっちゃ助かりましたね!カメラマン志望の子で。
 
 
あと、2017年の3月に200万部のベストセラー作家の高橋歩さんに会いに沖縄に行ったんですよ。自給自足の村を作ってる人で、その10周年パーティで「来る人いますかー?」って募ってるのを見て、「行きます!!」って行って、いろんな話をさせてもらったんですけど、そこで出版社の作り方とかも聞いたんです。
 
 

写真:その時の高橋歩さんと
 
 
▼高木
歩さんは、アメリカと日本に出版社を持っていたんで。
それから準備して2018年の1月に出版社を立ち上げて、2月には「REMEMBER」っていう自分自身のこれまでの挑戦を綴った書籍を出版したんです。
 

 
 
 

点を打ち続けた結果、ご縁が繋がる


 
Q:たしかに出版社の作り方ってわからないですよね。高橋歩さんとの出会いがキッカケだったんですね!講演会とかの実績づくりはどうなっていきましたか?
 
▼高木
キングコング西野さんが「革命のファンファーレ」っていう本を出した後、2018年3月頃に講演会を開催させてもらったんです。400人規模の。
 

 
▼高木
この講演会を開きたいと思った時に、辻さんっていう居酒屋経営者で年商数億の方が「教師でおもろそうなことやってる人がいる」って見つけてくださって、スポンサーになってくれたんで、西野さんのギャラや会場費も支払うことができて。
 
 

写真:辻さん
 
 
 
▼高木
この講演会や、出版社を立ち上げたことがキッカケになって、勤め先の橘高校から、「学校内でもこういった講演会を開いてほしい」とオファーをもらえるようになったんです。
 
似たような思いを持っていた先生が動き出してくれて…熱量が伝わったというか。
先生方も「どういう人呼ぼうか?」とか、「生徒にどういうことを感じてもらいたいか?」って一緒に考えたり、運営をしてくれるようになって。
 
念願の、学校内で生き方、キャリア教育のプログラムを導入できることになりました。
 
 

 
▼高木
毎月いろんなゲストを呼んでやっていったんですけど、自主的に先生方が、カンボジアでの研修プロジェクトや、奈良県の吉野町と連携してプロジェクトを進めていくようになっていきました。
 
 
 

 
Q:元教師ということですけど、なんで教師を辞めたんですか?
 
▼高木
橘高校でこういった活動ができるようになったんですけど、他の学校でもこういったキャリア教育が必要だと思ったんです。
 
学校の先生も今すごく悩んでると思うんですよね。
「生徒にいろんな生き方を学ばせてあげたい」って思っていても、人脈がなくてできなかったり、周りの賛同を得られなくてできなかったり。
 
ぼくは、今の時代が求める教師の役割って、教科を教えることも大事だけど、いろんな世界があることとか、生き方を教えられる人たちを学校の中に呼びこむコーディネーターの役割が大きいと思うんですよね。
 
自分も教師になってわかったけど、先生は忙しいし、大変!
だから、教師のあり方をもっと良くして行かないと変わらない。
 
そういったことをしていこうと思って、2019年の3月末で教師を辞めました。
 

 
 
 

今後の夢・目標


 
▼高木
出版社としては、本って紙なんですけど、作るといろんなことが起こっていくんですよね。
その本が武器になって、その本を通じて物語ができていく。
 
ぼくの場合も、「本を出してるんだね」といってもらえて、認めてもらえることもあったので、思いを伝える、自己表現するには最強のツールだなと思っています。
 
そういう物語を生み出す出版社として活動していきたいです。
 
 
▼高木
これまでの経験から、先生もいろんな人と友達になれるキッカケがあれば変われると思うんです。だからその仕組みを作りたい。
 
橘高校でキャリア教育のプログラムを担当させてもらってるので、そこで「どんな授業ができるか」とか「どんな変化を起こせるのか」を好事例として作り、それを他の学校にも広げていきたいなと。
 
思い返してみたら、高橋歩さんや四角大輔さんと仲間というか、友達のような距離感で接していただいてるのは、「会いたい!」って思ったら躊躇せず、会いにいったから。だから向き合ってもらえたんですよね。
 

写真:CHEMISTRYや絢香の元プロデューサーの四角大輔さんと
 
 
▼高木
向こうからやってきてくれるわけがなくて。だから、「生き方×教育本」を作って、全国の教育委員会や教育大学へ訪問ツアーをします!まず、自分と仲間になってもらうというか、友達のような距離感になってもらいたい!
 
学校の先生も、高橋歩さんやHACのようないろんな業界の人と友達くらいの距離感になっていけば、みんなでやれば、絶対できるはず!
 
ちょっとでも「やってみようかな」と思ってくれた先生をサポートしながら、つながりを作っていきたいです!
 
長くなりましたが、よろしくお願いします!
 

高木つとむプロフィール

「学校でも社会のことを教えられる教師になりたい!」と思い、京都の私立高校の教師に。自分自身が社会のことをわかっていなかったことから、学校外で講演会やセミナーを主催したり有名人をインタビュー取材する日々を送り、人脈を拡大。出版社を設立したり、キングコング西野の400人規模の講演会に成功したことから、勤め先の橘高校で念願のキャリア教育のプログラムを導入。現在は、日本全国にキャリア教育の導入を目指して活動中。