借金2000万円を乗り越え、切り絵作家になった話/小西光治のストーリー

フリーランス

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Q:ものづくりや、お金・金融関係の仕事に興味があります。
そういった活動されている人のストーリーが読みたいです。
 
 
 
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「何かに挑戦しようとしても、上には上がいる」
 
そう思って諦めた経験はないでしょうか。
 
 

 
切り絵作家として活動しながら、お金の悩みを持つ人に向けて、「稼ぐ・貯める・増やす」という3つのテーマで「お金の料理教室」というセミナーをおこなっているのが、小西光治さん、43歳。
 
「競争率の高いところではなく、独自のフィールドを作って勝負する」という価値観を大事にしている小西さん。
 
小西さんは、どのようにして「切り絵」と「お金」を仕事にすることができたのでしょうか?
その人生ストーリーに迫ってみました。
 
 
 

小西光治の普段の活動について


 
▼小西
2019年に入ってから、「お金」のことで悩んでいる人に向けて「お金の料理教室」というセミナーをおこなっています。
 
お金を「稼ぐ・貯める・増やす」っていう3つのテーマでおこなっていて、ありがたいことに関西だけじゃなく、名古屋や北九州でもお呼びいただいて、活動できています。
 
 

写真:名古屋でのセミナー
 
 

写真:北九州でのセミナー
 
 
 
▼小西
正直にいうと、最初はもともと「人のため」って思ってこのセミナーをスタートしたわけではなくて、お金の話をするのが好きでやってただけだったんです。
 
でも、このセミナーの反響がすごくて。やってみてわかったのが、「みんなお金のことで悩んでるんだなぁ」と。
 
だから、そういった人に向けて、『お金に縛られない「人」と「お店」をつくろう!』という本を出版しようと思ったんですよ。キャンディ姫路のオーナーのhideさんもちょうど同じタイミングで、「お金に縛られない飲食店」を作るという思い出活動されてたので、「一緒にやりませんか?」と聞いたらOKをいただけて。
 
 

写真:キャンディ姫路にて、hideさんと
 
 
▼小西
それで、2019年の8月にクラウドファンディングに挑戦したところ、多くの支援をいただくことができて、無事達成できました。今、この本の執筆をしていて、11月から支援者へのリターンと販売がスタートします。
 
 

 
 
 
Q:なるほど。次に「切り絵作家」としての活動について、教えてください。
 
▼小西
切り絵は、41歳の時にはじめたんです。
結婚式とかのお祝いや、お店に飾るプレゼントとして注文をしてもらうことが多いです。
 

 

 

 
 
 

「お金」を「仕事」にすることになったルーツとは


 
Q:なんで小西さんって、お金とか資産運用に詳しいんですか?
 
▼小西
転機としては、高校2年生の二学期から、アルゼンチンに留学に行った経験が大きいですね。中学の頃に洋楽にハマったんですよ。ボン・ジョヴィとかミスター・ビッグとか聞いててたら「海外の世界を見てみたいな」と思うようになって。
 
それで、いろいろ調べてたら、大阪の此花高校で成績上位の生徒だと海外留学に行けるプログラムがあることを知って進学したんです。
 
 

 
 
暗記することは得意だったんで、成績上位になれて、アルゼンチンに1年半留学することができたんですね。で、その時にアルゼンチンペソの価値が暴落して、、、まちでドルが流通したんですよ。ぼくもドルで買い物してましたし。
 
その時に、「あ、お金の価値って普遍的なものじゃないんだな…」って痛感したというか。海外だと、資産運用が当たり前なんですよ。お金持ちはドルで資産を分散していたので助かってたものの、裕福じゃない人はドルを持ってないから大変そうで。それを今でもめっちゃ覚えてます。
 
 
 

文系から理系へ転向。金融業界で見た世界とは


 
Q:大学で金融関係のことを学んでたんですか?
 
▼小西
いえ、大学は留学していた経験もあって、スペイン語と英語を話せたので、もっと語学の勉強をしようと思って。帰国子女枠で京都外大に進学できました。
 
 

写真:大学時代
 
 
▼小西
同級生はNOVAとか旅行会社に就職していくんですけど、ぼくは当時、「村上ファンド」をみて、「メッチャかっこいい!」って思ってたんです。次々と会社を買っていって、、、夢があるなぁって思って、「自分もファンド会社を作りたい!」と思って、まずファンド会社に就職しました。
 
 

写真:新入社員時代
 
 
Q:なるほど、ファンド会社で勤めていたから、資産運用とかのノウハウもあるんですね。
 
▼小西
はい、最初は営業担当でしたけどね。
いきなり資産運用の担当はさせてもらえないんですよ。
 
当時はまだ個人情報保護の考えが全くない時代で、名簿を見てテレアポをし続けるっていうことをやってました。メッチャ大変だったんですけど、社内で営業成績全国トップになれたことで、26歳の時にファンドマネージャーとして資産運用を担当させてもらえるようになりました。
 
そこで、株価の値動きを見て投資家の相談に乗る「テクニカルアナリスト」っていう専門家として活動していました。テクニカルアナリストは、日本全国で2700人くらいしかいません。
 
 

 
▼小西
成績も良かったので、「俺、天才!」とか思っていて(笑)
 
で、3年くらいそこで経験を積み、29歳の時に独立したんです。
「リトルファースト」っていう、ファンド会社を作って、、、預かり資産は、20億の規模でしたね。
 
 
 

絶好調から借金2000万円。人生の暗黒時代へ

 
▼小西
クライアントには、元本保証もしていて、利益100万円生み出すことができたら、その2割を手数料としていただいてたんですね。
 
年収は1,200万円くらいだったので、家も買って、メッチャ調子が良かったんですけど、その時にリーマンショックが起きて、31歳の時に借金2000万円を背負い、会社も倒産。人生の暗黒時代に入ります(笑)
 
 

 
Q:預かり資産20億で、2000万円の借金って・・・1%ですよね?
 
▼小西
はい、1%に抑えられたのは、ファンド会社での経験があったからで、よく抑えられたなと。でも、金額にしたら大きいですよね。住んでいた家は賃貸で貸すようになるから住めなくなって。
 
大阪の平野の実家に子ども2人と奥さんと帰って、両親に「住ませてください」と頭を下げました。
 
生活は妻の給料でして借金はぼくが返すということになり、5年間、毎月40万円返済してましたよ。
 
 

 
 
Q:毎月40万円返済って、、、どういう仕事をしてたんですか?
 
▼小西
12年くらい前・・・2007年くらいって、ガソリンスタンドで「クレジットカードはいりませんか?」と呼びかけられませんでした?
 
あれでカードを作ってもらうと、1件あたり1万円くらいもらえてたんですね。夜通し営業したら1日3〜4件作ってもらえてたんです。そう思うと、ファンド会社の営業時代の経験が活きてますよね。
 
あと、開発中のゲームをして、「バグを見つけたら1件いくら」とか、、、あとは持っていた家を貸して家賃収入をもらったり・・・。
 
他にも色々働いてましたけど、そうしないと月40万円は返せませんでしたね。
 
 
 
Q:そういった経験から、金融や資産運用の話ができたり、ノウハウを伝えられるわけですね?
 
▼小西
そうですね、マイナス2000万円のところから生き返ってるので、「今ゼロのところにいる人は絶対にお金の悩みを解決できる」って思ってます。もし、困っている方は「プライベートお金の料理教室」っていう個別相談にも乗らせてもらうサービスもありますし、「貯金したいけどできないな」っていう人がいたら気軽に「お金の料理教室」に来てもらいたいですね。
 
 
 

「切り絵」を「仕事」にすることになったルーツとは


 
Q:子どもの頃から絵を書くのが好きだったんですか?
 
▼小西
そうです。
 
両親が大阪の平野で食堂を経営してたんです。
なので、ほとんど親と話す時間もないし、食堂ってみんながご飯を食べる時間が忙しくなるでしょう? 両親と一緒にご飯を食べることもなくて…。
 
 

 
▼小西
「お腹すいたな」って思ったら、電話の受話器をあげて【内線】のボタンを押して「親子丼」っていったら親子丼を持って来てくれるっていう(笑)
 
そんな感じなので、漫画・アニメ・ゲームをしてました。時間が早く経つし、少年ジャンプ全盛期だったこともあって、10歳から絵を描くようになります。
 
 

 
Q:41歳から切り絵を始めたっていうことなんですけど、何かキッカケがあったんですか?
 
▼小西
39歳の時にやっと借金2000万円を返済し終わるんですけど、その後、妻と離婚したんです。離婚理由は妻にあるものの、財産分与の関係や親権の関係で3回訴えられて。
 
大阪地方裁判所に行き過ぎて、守衛さんと仲良くなりました。
「また来たの?」って言われて、「また訴えられました」って話してましたね(笑)
 
今だからこうやって話せますけど、当時は「あしたのジョー」の真っ白な状態で、仕事もしたくないし、外にも出たくない。
 
生活費は、家賃収入やシェアハウス経営の不動産収入があったので大丈夫だったんですけど、「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」とかのロールプレイングゲームを、月200時間はしてましたね。
 
で、そんな生活を2年くらいした頃、キングコング西野さんの「革命のファンファーレ」っていう本を読んだんです。それで自分も「何か始めたいな、ゲームばっかりやってても前に進んでないし、時間が勿体無い」って思えるようになって…。
 
 
 
▼小西
そこで、子どもの頃、絵を描いてたなと思い出して。
「でも、絵が上手い人は世の中にいっぱいいる……切り絵なら勝負できるかも?」って思って、切り絵作家として活動し始めたんです。
 
 
 
Q:メッチャマイナーなところにいきましたね?
 
▼小西
はい(笑)ぼくは昔から「競争率の高いところでは勝負しない」っていう価値観があるんですよ。原体験としては、スポーツで結果を出せなかったのが大きいですね。
 
父が草野球のコーチをしてたこともあって、いろんなポジションをやってみたんですけど、全部ダメで。特にピッチャーとして投げる練習をしてる時に、「足を大きく前に伸ばしたらキャッチャーとの距離が近くなるから、そうやって投げろ」って教えてもらってやってみたら、ボールが地面にバウンドして顔に当たって顔面ドリブルみたいになったくらいで(笑)
 
だから中学の部活も科学部で、実験したりカエルの解剖とかしてました。
 
 
 
Q:冒険心が旺盛というか、、、発想が本当に自由だし、行動力がありますよね?昔からそうなんですか?
 
▼小西
3歳くらいに、足でこぐ車で家の外に出て捜索されたって聞きました(笑)
あと、アルゼンチン留学をしたときに、軍の機密地域に入ってしまって逮捕された経験もあるんです(笑)
 
 
 
Q:え?逮捕?詳しく聞いてもいいですか?
 
▼小西
コルドバ州で住んでたんですけど、そこに鉄塔があったんですよ。好奇心からそこに入って、「写ルンです」っていうプラスチックカメラを持ってパシャパシャ撮影してたら、目の前が赤いライトで真っ赤になって「パオンパオン!パオンパオン!」って警報が鳴って、ジープから迷彩服をきた人たちが出てきて「そこの中国人降りなさい!」って言われて、逮捕。
 
海外ドラマとかで、見たことがあると思うんですけど、身長の線が書かれた部屋で、正面・横・後ろの写真と指紋を全部取られて、牢屋に入れられたんですよ(苦笑)
 
 
Q:今生きてるってことは、無事だったんですよね?
 
▼小西
はい、ホストファミリーの先の人が「その子はうちで預かっている留学生だから」って説明してくれたんです。留学生を受け入れるってブルジョワ階級の人が多いんですよ。政治家とか。しっかり説明してくれたおかげで復活できました。
 
なので、「これやってみたいな」って思ったらやるし、冒険心は素質としてもある方だと思います。
 
 
 

全く売れなかった切り絵が売れ出した最大の理由


 
Q:切り絵作家になったものの、売れましたか?
 
▼小西
いえ、全く売れませんでした(笑)
AbemaTVで、幻冬社の箕輪さんにも「切り絵なんて誰も買わないよ、世界で最高のクオリティのものを作るか、コミュニティを作らないと」って言われて。
 
で、「コミュニティを作らないと売れない」っていうのが響いて、その時にちょうど、入舟温泉のガクさんが「この2階の空きスペースをどうにか使えない?」って相談してくれて、「挑戦する人がイベントをしたりできるコミュニティスペースを作りましょう」っていうことになったんですね。
 
 

 

 

 
 
 

 
▼小西
それで、クラウドファンディングをして、このMottoを作るためにリノベーションをみんなで作りました。
 
 
▼小西
あと、スナックキャンディの1日ママをさせてもらったり、カラオケイベントを開催したり、いろんな異業種交流会に行ってたら、「知り合いが今度結婚するんで切り絵のプレゼントをしたいんです」とオファーをもらえるようになっていきましたね。
 
 
 

今後の夢・目標


 
▼小西
大きくは、「切り絵作家」と「お金・資産運用」の2つのテーマで活動していますが、まず、「切り絵作家」としての目標は、ありがたいことに今では、1人で対応しきれないくらいのオファーをいただいてるので、「スバキリ一味」といって、メンバーと一緒にそれぞれの強みを活かして分業で、良い作品を共創していきます。
 
 
▼小西
実は、娘もYouTuberを目指してまして。
「スバキリガジェット研究所」っていう親子で楽しめるチャンネルを運営しているので、よければチャンネル登録お願いします。
 

 
 
▼小西
最後に、「お金・資産運用」のセミナー・講演は、ドンドンやっていきたいんです。
出版する本『お金に縛られない「人」と「お店」をつくろう!』については、1000部を販売することを目標にしてます。
 
「なんでお金や資産運用のことを伝えたいの?」って聞かれるんですけど、ぼくがお金のことを話すのが好きなんです。あと、日本って「円は大丈夫」って思ってる人がすごく多いせいか、資産運用の必要性を知らない人も多いんですよね。
 
海外では、ドルを持ってたり、ユーロを持ってたら資産を分散してリスクを回避してるのが当たり前なんですけど、日本と海外の温度差はヤバイんじゃないかなと。
 
ぼくはたまたまアルゼンチンで通貨の価値が暴落したことをみたり、自分自身が借金2000万円を背負って完済した経験もあるので、高校生や大学生に伝えられることがたくさんあるなって思ってるし、伝えたいんです。
 
息子にもお小遣いの半分はドルで渡してます。
お店で使えないから「これ何円になるんだろう?」とか考えるし、両替とかもするし、そうなると手数料も勉強するし。大事だと思うんですよね。
 
なので、大人のみなさんだけじゃなく、学校や大学で「お金の料理教室」をできたらうれしいですね。教育関係の方は、ぜひ、気軽にお声がけください!
 
「貯金ってこうやったらできるんだよ」
「資産運用って大事なんだよ」
っていうことをカジュアルに、わかりやすくお伝えしますよ!
 
 

 

小西光治のプロフィール

高校2年生の時にアルゼンチンに留学。その時に現地通貨の価値が暴落し、お金の価値が一定でないことを痛感する。
帰国後、外国語大学に進学するも、ファンド会社に就職し、のちに会社を設立。しかし31歳の時にリーマンショックが起き、倒産。
借金2000万円を背負うが、5年で完済。その後、切り絵作家の活動を開始し、「お金を稼ぐ・貯める・増やす」の3つのテーマにした「お金の料理教室」を各地でおこなっている。