私がネイリストになるまでの話/中西美帆の人生ストーリー
Q:ネイリストに興味があるけど、具体的な仕事内容がわからないし、なり方もわかりません。実際にネイリストとして活動している人の人生ストーリーを知りたいです。
***
華やかな業界で生きているように見えるネイリスト。
ネイルサロンに訪れる女性の中には、爪噛み、メンタル面の不調で悩んでいる女性もいます。
・「女性は〇〇であるべき」という社会の価値観
・女性のライフイベントと仕事の両立の難しさ
があるからでしょう。
また、ネイリストとして働く女性の中にも、産休や育休、子育てがしにくいサロンも多いのが現状。
そんな中、ネイル施術に加え、「お客様とコミュニケーションをとって女性の悩みを解決したい」という思いでネイリストとして活動しているのが、中西美帆さん、30歳。
現在、奈良市でプライベートネイルサロン「nailroom emu」を経営しています。
2019年7月時点で、ネイリスト歴7年。
サロン勤務時代もあわせると、
延べ1000人の施術をおこなってきました。
また、初めて参加したインスタグラムのチップコンテストで準優勝。
リピート率90%超えのサロンです。
サロン勤務時代をへて独立した、中西さんの人生ストーリーに迫ってみました。
写真:奈良市のネイルサロン前にて
爪噛みで悩む、HACの山田理早が人生初のネイルを体験しながら美帆さんのインタビューをおこないます。
目次
なぜネイリストになろうと思ったのか
Q:中西さんは、なぜネイリストになろうと思ったんですか?
▼中西
小学校の時に自作の4コマ漫画とか絵を描いたり、物を作ったりが好きだったんです。
「デザイン」っていう意味では、『ご近所物語』っていう漫画があって、それに影響を受けてました。(笑)
▼中西
ネイリストになる前は、旅行会社でツアーコンダクターとして働いてたんです。
接客は好きだったものの、しんどくなって辞めたんですけど。
それで、「何か手に職を付けたいな…」と思って色々模索してたら、ハローワークがやっている職業訓練学校でネイルの講座があったんですね。「これなら自分にピッタリかも!」と思ったのがキッカケでこの世界に入りました。
職業訓練学校に3ヶ月間みっちり通って、その後もネイルスクールに通って、、、トータル1年半くらい勉強しました。
実は知らないネイリストの下積み時代
Q:といっても…いきなりはうまく施術できないですよね?
ネイリストとしてスキルをつけるまでにどんなふうに努力してきましたか?
▼中西
ひたすら同じ練習をしましたね。
ひたすら有名なネイリストの先生のセミナーを受けまくって。
その後、サロンに就職して、ネイリストとして本格的に活動を開始しました。
Q:サロン勤務時代ってどんなふうに働いていましたか?
▼中西
勤務時間でいうと、朝10時から夜の10時まで働いてました。
お昼休憩が少しあれば良い方で…。
10時に終わっても、そこから2時間くらい無給でレッスンをして…っていう日々を4年くらい過ごしてました。
Q:かなりハードですよね。サロン勤務をしていて辛い時ってありましたか?
▼中西
先輩から「ネイリストやめたら?」って言われたこともありました。
愛があって、熱心な先輩だったんですけど、私がなんども同じ失敗をしたり成長できない時期があって、
「休日に休んでたらうまくなれないよ?」
「向上心があれば休みもレッスンするでしょ?」って言われて。
Q:スパルタ…まさにドラマみたいですね。その状況をどうやって乗り越えたんですか?
▼中西
「とにかく先輩に勝てるものを作りたい」って思ってました。
でも、歴は先輩よりも少ないし、経験では先輩に勝てないから、有名な先生のアートセミナーに参加して、ネイルのバリエーションを増やすことをがんばったんです。そこで他のネイリストと差別化をしようって思って。
今だとYouTubeでいろんなアート・デザインが紹介されていて勉強できるんですけど、その頃はそういうのがなかったんです。
そうしてたら、中西さんのデザインが良いって言ってくれる人が出てきたり、お店の定額プランのお得コースのデザインとして扱ってもらえるようにもなって、先輩も認めてくれるようになりました。
それがすごく自信になりました。
サロン勤務から独立へ。サロン経営の舞台裏—。
Q:サロン勤務から独立して、お店を経営するって結構大変じゃないかと思うんですけど。
▼中西
開業してから3年が経ったんですけど、サロンを開業するにあたっては、あまり大変だなと思ったことはないですね。
資金はサロン時代に貯めていたお金と借り入れをできたので。
開業したら、ネイルの技術だけじゃなくて、経営や会計、、、特に集客。
サロン勤務時代は待っていたらお客様が来てくれるじゃないですか?
独立してからは全部自分でしないといけないんで。
そこが大変でしたね。
ネイルの基礎力のレベルアップのためにスクールにも通った
Q:開業してすぐってお客様は来店してくれましたか?
▼中西
いや、収入としてはサロン勤務時代(平均10数万円)より下がりましたね。
だから、Facebookとかブログをめっちゃ更新して、見つけてもらえるようにがんばってました。
記事を見てとか、紹介で来てくれたお客様には全力投球して。
ネイルの施術中って90分以上はお客様と会話するので、悩み相談を受けて心もスッキリしてもらいたいんですよね。心理カウンセラーさんがやっている会話の聴き方とか心理学を学んでコミュニケーションをしています。
お客様と1対1でどれだけ向き合えるかを大事にしてます。
そうするようになってから、お客様の会話量もリピートも増えていきました。
「元気出たー!」
「今日からまたがんばろー!」
って言ってもらったらすごくうれしいんですよね。
Q:人を喜ばすのが好きなんですね。なんでその価値観が生まれたんですかね。学生時代に文化祭の委員とかやってました?
▼中西
文化祭とか体育祭の委員をしてました。
あと、専門学校時代にクラスの子の誕生日会をしたり、そういうのが楽しい。
友達とみんなで旅行に行ったんですよ。
私が誕生日だったので、「みんな忘れてるのかな?」って少し落ち込んでたんです。
そしたら2人がちょっと出かけてくるって言って、戻って来たらケーキを持って登場して祝ってくれたんです。そういった経験もあって、人を喜ばすとか驚かすっていうのが好きなのかもしれません。
ネイルとコミュニケーションで女性の悩みを解消したい
Q:中西さんにとって、ネイルが女性の日常生活に与える影響ってどういったものがあると思いますか?
▼中西
ネイルって、キラキラしている感じとか、ウキウキした感じになれるイメージがあると思うんですけど、爪噛みの悩みを抱えた人も多いんですね。
ネイルをすることで、爪噛みしにくくなります。
でも、それって一時的な対処法なので、やっぱり心身のケアも大事。
だから、心理学を学んでコミュニケーションをとって、悩みを聞けるようになりたいと思ってるんです。
山田の爪を施術
右手の薬指が、長年の爪噛みで短くなってしまっている状態
▼山田
助産師だったから学生時代からネイルに縁がなかったし、ストレスで爪を噛んでしまってたから、「一生ネイルはしないんだろうな」って思ってたけど、今回そのチャンスというか、機会をもらえたのはありがたいね。
こんなに人に爪を見せるってことが初めて。
▼山田
これ、爪の甘皮とか表面をキレイにしてくれてるの?
ネイルの色を入れるまでのベースの土台を作る処理があるのを初めて知った。
自分でマニキュア塗るだけだったらこういう処理をしないよね。
▼中西
ここをしっかり手入れしておくと、爪が波打ったりせずにキレイにはえてくれるし、キューティクルオイルも浸透しやすくなるんですよ。
写真:爪噛みで短くなっている爪を復元
▼山田
爪がはえた!すごい!
「もともと爪がある土台がある人じゃないとネイルなんてできない」って思い込んでるからさ。
▼中西
全然できますよ♪
▼山田
初めて爪を噛んだ日覚えてる。
私が5歳の時で、2こ下の良くできる妹がいるんやけど、いつも注目されてるのがうらやましくて。
寂しさを紛らわせる方法が、ぬいぐるみを抱くか爪噛みやったわ。
そこから25年間治せずにずっときた。
今日ネイル行ってくるって言ったら「キレイなって帰ってくるんやな?」とか言っとったで。
「爪がある人生なんてあるん?」って感じやったけど(笑)
▼中西
ありますあります!
Q:ネイルをされたお客様で、大きな変化がおこったエピソードって覚えてますか?
▼中西
教師の方で、すごくメンタルがやられてしまって休職してる人がいたんです。
美容師さんに「ネイルでもしてみたら?」って言われて来てくれた方が、「色々聞いてくださってありがとうございますー!」って言ってくれたんです。
その後、職場に復帰されて、「あの時聞いてくれてありがとうね」って言ってもらったことが印象に残ってます。
▼山田
血色が良い赤色に惹かれるなぁ…。
山田の希望を聴き、ネイルのカラー入れ…
ここまで約90分ほどの施術により、ネイル完成。
▼山田
めっちゃテンション上がる!
可愛い!
25年間、爪にコンプレックスを抱え続けていた山田も笑顔を取り戻した
今後の夢・目標
▼中西
大きくは2つあって、
①奈良を盛り上げること
②女性が働きやすいネイルサロンを経営できる自分になること
です。
奈良市内でネイルサロンをしているし、奈良出身なので奈良がもっと元気になれば良いなって思ってるんです。
だから、奈良の自営業者が地域活性化やお互いの事業の応援をし合う「奈良会(※)」を運営してるんですけど、その輪を広げていきたいです。
※奈良会
2019年3月に中西さんの友人が発起。
池山 拓弥さんと運営。
▼中西
2つ目の目標の思いは、ネイルサロンって女性が多い職場ですけど、産休や育休、子育てがしにくいサロンが多いんです。安くコキ使われて、時間もなくてボロボロのネイリストさんも多くいるように感じていて…。
ネイリストって、離職率が30%くらいだし。
というのも、子育てしながらやろうと思ったら、サロンに勤務できないんです。。。勤務時間が長いので。パートだと収入面が辛くなるから、やむなく独立してる人も多くて。
ネイリストが笑顔でイキイキ働けていないと、お店に来てくれるお客様を幸せにすることってできないと思うんですよ。
ネイリストみんながみんな独立する必要はないと思うんです。だから、今までのネイルサロンを覆した社会保証や待遇面、給料面がきっちり整ったサロンを作って、幸せなサロンスタッフを増やしたいと思っています。
スタッフの笑顔がお客様に伝染して、そこにいる人みんなが幸せになれるようなサロンを作っていきたいです。
中西美帆のプロフィール
旅行会社でツアーコンダクターとして勤務。
お客様とコミュニケーションを取るのが好きだったものの多忙さで退職。
「何か手に職を付けたい」と色々模索してたところ、ハローワークの職業訓練学校でネイルの講座があったことでネイリストに転身。
現在、ネイリスト歴7年。サロン勤務時代から延べ1000人を施術。
奈良市でプライベートネイルサロン「nailroom emu」を経営している。
中西美帆のSNS
nailroom emu(Facebook)
instagram
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