私と薬膳との出会い/原田栄利子の人生ストーリー

経営者

Q:薬膳料理や漢方など、健康の分野に興味があります。
そういった活動をされている方の人生ストーリーを読みたいです。
 
 
 
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「人は自然の一部。それなのに勘違いしていたり、そのことを忘れている人が多いように思います!」
 
 

 
そう話すのは、日本の季節に合った薬膳を提案する「日本四季大学校」を立ち上げ、身近な食材で作る食事・養生を伝えているのが、原田栄利子さん、55歳。
 
元看護師歴17年を経て、なぜ52歳の時に独立し、四季を丁寧に暮らすことの大切さ伝えていくことにしたのでしょうか。
 
その人生ストーリーに迫ってみます。
 
 
 

健康で美しい人は四季の暮らしを知っている


 
2019年9月27日—。
 
JR芦屋駅から徒歩5分にある、一般社団法人「日本四季大学校」で、この日は秋にどういったものを食べたら健康でいられるかが学べる「秋の薬膳レッスン」がおこなわれていました。
 
 

 

 
 
▼原田
みなさん、「薬膳」っていう言葉はよく聞かれると思うんですけど、どういうものか説明できますか?
 
薬膳は中国からきたもので、「中医学」の薬食同源思想に基づいて、季節と体質に合わせて未病を改善する養生料理のことです。
 
 

 
▼原田
ここで、「中医学って何?」って思いますよね?
 
薬とか手術で治す西洋医学と対比して、東洋の医学で、日本では有名なツムラの漢方は、日本人に合わせて飲みやすいように作られていますが、そのベースになるのが「中医学」です。
 
薬膳料理は、中国から来ているので、生薬とか木の根、皮などを使うイメージがあると思いますが、日本ではあまり馴染みがないですよね?使い慣れないものは続かないし、スーパーなどでは手に入りにくい。
 
また、人によっては冷えがあるか、熱があるかで適する食べるものは違ってきます。
万人に合う食材ってないので、まず自分を知ることはとても大切です。
 
さらに、薬膳では、病気になる前の未病(みびょう)での対応を大切にしていて、スーパーで買えるような旬の食材で改善していく方法をお伝えています。
未病とは、病院の検査では異常はないけれど、カラダがだるかったり、肩こり、頭痛があるなど、不快な症状があることです。
未病の方は結構多いように思います。
 
 
私はこれまで10年以上、中医学、薬膳を学んできましたが、日本には四季があるので、季節の変化が体に与える影響、それを知った上で、自分が住んでいる地域で取れた旬食材で調整し食べるのが体に良いことを伝える活動をしています。
 
 
 
▼原田
秋の食事のテーマはなんだと思いますか?
体が受ける影響は・・・?
 
 
▼参加者
乾燥する季節ですよね。
 
 
▼原田
そうですね!
秋の食事のテーマは、「乾燥対策」です。       
 
夏に汗をかいて渇いたカラダの乾燥をとる、秋前半は、渇きを取る甘酸っぱいもの、
例えば梨などのフルーツや、大根、えのきだけ、白木耳のような白いものがおススメです。
 
秋の後半は冷えが始まり、体の巡りが悪くなるので、辛味のものをとります。
日本では薬味がおススメです。
 

写真:原田さんと日本四季大学のみなさん
 
 
 
▼参加者
知人の紹介できました。
薬膳コーディネーターの資格は持っているものの、レシピを考えるのが苦手で。
自宅で実践できればと思い、参加しました。
 
 
 
▼参加者の声
私は一年間受講してきたんですけど、説明が本当にわかりやすいです。
旬のものを使ったレシピが学べて、実践できます。
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 

原田栄利子は、なぜ薬膳をテーマに活動することにしたのか


 
Q:原田さん、イベントおつかれさまでした。四季の旬の食材を使った薬膳料理のレッスンや食事会をされてますが、なぜこの活動を始めようと思ったんですか?
 
▼原田
40歳頃に、国際中医薬膳管理師・国際中医師の資格を取ったんですね。
 
38歳の時子供ができなくて、主人と話をしました。
子どもができない人生なら、時間とお金を自分達のために使えるので、夫が「その分、もっと好きなことをドンドンやったら良いんじゃないかな?一回の人生なんだし」って言ってくれて、それからいろんなことをやってみました。その中で「中医学」にビビッときたんですよね。
 
看護師として西洋医学の世界で働いてきて、病気になってからじゃなくて、病気になる前(未病)の養生の大切さに気づいてたのもありましたね。
 
でも、東京でしか「中医学」を学べなかったんです。
すごくお金がかかったけど、覚悟を決めてドンドン自己投資して後がないようにして、、、あの時は、人生で一番勉強しました。
 
でも、資格をとっても実際にはどう生かしたらよいか分からず、自分に落とし込むのに5年くらいはかかりました。
 
 
 
Q:薬膳というと木の根っこや皮を使った料理で、香りが独特な印象があったんですけど、スーパーで買える旬の食材を使うことの大切さに気づいたエピソードってあるんですか?
 
▼原田
講師活動を始めた頃に、エステの学校から講師を依頼があり、エステティシャンに薬膳と経絡を教えました。
 
その中の生徒さんの1人が若くして病気になり、闘病生活の中で、自分の病気に対して薬膳でどうしたらよいかと聞いてきました。
 
それまでの私は生薬をいかに食事に使うかを主に勉強していましたが、抗がん剤を使っていた彼女は、吐き気で通常の食事も取れない!
勉強してきたことが全く役に立たなかったんです!
 
「私は何をこれまで勉強してたんだろう」と、ハッとさせられました。
 
その時、彼女が食べられたものは、昔から日本で食べられていた白粥と梅干し。
食事は日常の物じゃないですか?
小さい頃から食べてきたものがいかに大切か思い知りましたし、日本の食材で季節に合った食を伝えていこうと思った、大きな転換となりましたね。
 
 
 

17年の看護師時代で得たもの

 
Q:前職は看護師ということですけど、なぜ看護師になろうと?
 
▼原田
山口県の出身で、厳しい親に育てられ、安定した仕事に就くことを望まれました。
自立して自分で食べれる大人になるようにと言われていて、医療職なら続けられると高校生の時に思い決めました。
 
私は、園児の頃から小学生まで、小児喘息で夜中に病院にかつぎ込まれるような体が弱い子でした。中学校に入ってからは随分元氣になってスポーツもどんどんやり、クラブは軟式テニスクラブに入り、テニス三昧の日々。
 
3年生の時には県大会に出場できましたが、この頃はお米もモリモリ食べられるようになっていましたね、
当時はコンビニもなくて和食で煮魚、味噌汁とか、体にいいものを食べられていたことのあってか健康になっていったように思います、
体が弱かった分、健康の大切さ、ありがたさをを感じていました。
 
 
 
Q:なるほど、体が弱かったこともあって、病院に行くことも多かった経験から看護師を目指してたんですね。
 
▼原田
父は厳しくて、「手に職をつけろ」という教育だった影響があったと思います。
そこから、大阪に出てきて、大阪市立大学の看護専門学校に入って、看護師になりました。
 
 
 
Q:なんで大阪を選んだんですか?
 
▼原田
んー、、、親戚もいないし、イチから始められるかなって思って。
あと、大阪ってすごく良いなって思ったのが、自己表現が豊かというか、会話も楽しいし、距離感も自分にあってラクでした。
 
 
 
Q:実際に看護師になってみてどうでしたか?
 
▼原田
 この看護師の現場経験があるから今につながってるんですけど、記憶に残ってるのは、夜勤のキツさと、人間関係の厳しさでした。
一番辛かったのは、当時、ガンを告知しないっていう方針でした。
 
医師には聞きにくいのか、夜勤の時、患者さんは看護師に聞いて来ることが多く、「私は、本当はガンなんでしょ?」とつめられることもよくありました。本当のことを言えなくてメンタルが落ち込んだのを覚えています。
 
 
 
Q:しんどかったですね。どう乗り越えましたか?
 
▼原田
26歳の時に、転職しました。。
偶然知り合ったアパレル会社取締役の紹介でその会社に入り、約6年働きました。
社員が生き生きと楽しそうに働いていて、とても素敵だと思いました。
 
「働くってこういうことか!」と感じたのを覚えています。
 
それまで病院の狭い業界でしか働いたことがなかったので、社会勉強できましたね。
よく飲みにも行きました(笑)
 
面白い、愉快な人が多く、その数年間は本当に楽しかったです。
約5年その会社で働き、31歳の時に結婚をしました。
 
 
 
Q:そのあとはどういう仕事をしていたんですか?
 
▼原田
メディカルコールセンターの会社で、電話の健康相談を受ける仕事を始めたんです。
 
病気のことはもちろん、授乳、育児や介護など、あらゆる診療科の相談を受けていました。
限られた時間で伝える能力を磨けたのが、お話する今の仕事につながっているように思います。
 
3年程働いて主任に昇級したんですけど、クレームを担当することになって・・・。
何時間もクレームを言ってくる人がいたりで、そういうことが続き、職場の最寄り駅で動悸がするようになり「これはもうダメだ」と思い辞めました。
 
 
 
Q:看護師の現場の経験からそういう仕事もされてたんですね。
 
▼原田
そのあと38歳からは、厚生労働省が承認する前の新薬を開発する臨床試験の治験コーディネーターとして働いてました。
 
そこでは、医師に試験の内容を伝えるため、図やプレゼンが必要で、自ずとパソコン操作を学ぶことができました。
今作ってるパンフレットのデザインは自作です。
こういった能力のベースがここで磨くことができました。
 

 
 
 
Q:時期としては、この時に「中医学」の勉強をしていたんですか?
 
▼原田
そうです。
3年目から週3回の勤務に変更し、お給料もよかったので、東京に通うこともできて、
すごくありがたかったですね。受け持ちの試験が終わるまで6年勤めて43歳の時に退職しました。
 
そのあとは、この建物の隣、神戸芦屋にある美容クリニックとご縁をいただいて。
そこで立ち上げスタッフとして勤務してました。
 
 
 
Q:健康と美容に興味があったんですね。
 
▼原田
そうですね、「最新の機械ってどんなのなんだろう?」とか、美容業界のことは大変興味がありました。
そのクリニックはエステサロンも併設していて、現在の30〜40人の女性スタッフが働いておられます。その人たちが働きやすいように配慮されているし、キッズルームもあり、子供がいて外出しにくい顧客への対応もされています。
 
オーナーの考え方、思いすばらしく、経営者として、女性としてとても尊敬しています。
私もクリニックの立ち上げを一緒にさせてもらいながら、オーナーやスタッフに「私は薬膳でこういうことをやりたいんです」って伝えていました。
その時のご縁で、今この場所で「日本四季大学校」をさせてもらえてるんです。
ご縁に感謝です!
 
 
 

ご縁と経験を積み続けた結果、薬膳の道がひらけた


 
▼原田
その美容クリニックを45歳の時にやめて、それから独自のメソッドを作って、独立したのは52歳の時、2016年の11月14日。
 
当初は数か所、場所を借りてイベントやレッスンをしていて、
2018年の秋頃から「そろそろ物件を探そう」と思っていたところでした。
 
その時、タイミングよくオーナーが、現在のデコルテルームに引っ越しをされたんです。
「設備の整ったこのキッチンを使える人は・・・」っていうことで私のことを思い出してくださり、使わないかと声をかけてくださったんです!
 
2019年5月からこの素敵な場所で活動をしています!
本当にご縁ですね。
 

 
 
 

「和食って何?」って聞かれたらあなたはどう答えるか


 
▼原田
2020年は、日本でオリンピックが開催されますよね。
 
海外の人もたくさん来られると思いますが、「和食って何?どういう意味?」って聞かれたらどう答えますか?
意外と答えられない人が多いような・・・。
 
 
Q:たしかに。答えられないです(笑) 
 
▼原田
和食って、「だしを使い、発酵調味料で調理した料理」のことなんです。
 
だしをしっかりとって、調味料の良いものを使えば、それだけでかなり美味しくなります。だし、調味料だけはしっかり良いものを取ってもらいたいです。
 
また、食に対しての日本人の美的センスって本当にすごいなと思っています。
まさに、ワビ・サビの精神が盛り付けにも入っていて、繊細な感性は日本の誇りだと思います。
 
 

 

 

 
 
 
▼原田
私の周りでも熱い思いを持ってる人が沢山います。
 
例えば、温度調整をせず、なるべく自然に近い状態下で、地元の食材を使ってお醤油を作っている人や、同じように、なるべく人工的ではなく、環境にこだわってお塩を淡路島で作っている若者等々・・・。
 
それは現代では、とても手間のかかる大変なこと・・・・。
熱い想いが伝わってきます。
 
すばらしいですが、利益追求ではないので、経営も大変なそうで・・。
そういう方々の紹介も今後どんどんしていきたいんですよね。
後世に、次世代に残すべき、日本の宝物だと思うから。
 
 
自然があって、私たちがいる。
 
ついつい勘違いしてしまって、自然よりも前に出てしまうけど、人間は自然の一部なので、自然を大事にし、こちらが寄り添っていくことが大切あり、それが健康でいられることの秘訣のような気がします。
 
 
 

今後の夢・目標


 
▼原田
「日本四季大学」として活動を始めてからあっという間に3年が経ちました。
色々ありましたが、少しづつ足元が固まってきたように思います。
 
現在やっている「四季薬膳認定講師」の養成にますます力を入れ、認定講師を増やし、世の中に四季の食を広めていくこと、講師のレベルアップに努めたいと思います。
 
60歳ぐらいまでには、組織作りを盤石にし、四季をテーマに、各分野のスペシャリストと一緒にコラボなどもしたいです。
 
自分も周りも笑いが満ち溢れる、皆が自然に集まる場所にしていけたら良いと思っています(笑)
 
 

 

原田栄利子プロフィール

看護師として医療現場で勤務してきた経験より、病気になる前(未病)の養生の大切さに気づき、西洋医学だけではなく中医学を学ぶ。
国際中医薬膳管理師・国際中医師の資格を取得後、講師として薬膳や経絡美容を教える活動の中で、季節感のある、住んでいる場所の自然に沿った生活こそが健康のために大切であることを痛感し、日本の四季を理解し、季節ごとの食事や養生を指導できる人材の育成に向け活動している。